【Matching Journal Vol.1】海外マッチングアプリのプロモーション戦略~Tinder編~

「タップル誕生」のプランナー加藤が、海外のマッチングサービスのニュースを中心に最新の業界トレンドを紹介するマッチングジャーナル。Vol.1は「Tinder」のプロモーション戦略についてご紹介します。

国内におけるマッチングサービスの市場規模は近年急速に成長しており、2017年には208億円、2020年には577億円を超えると予測されています。
一方でアメリカでは1995年にMatch.comがサービスを開始して以来、今では3人に1人がネットで知り合った人と結婚するほど、マッチングアプリが恋愛の当たり前になっています。

そんな中、アメリカのマッチングサービスで急成長を遂げているサービスがあります。それは、昨今日本でも徐々に知名度を上げつつある「Tinder」です。アメリカのTinderがなぜそこまで急成長を遂げているのか。今回は「Tinder」のプロモーション戦略について考察してみました。

「口コミ」を追求したプロモーション

Tinderがリリースされたのは2012年。当時は老舗マッチングサービスMatch.comやOkCupidがマーケットリーダーでした。

マッチングアプリの立ち上げ期は、ユーザーの獲得がサービスのキモとなります。ある程度の登録者がいなければ、せっかく新規ユーザーが登録しても誰ともつながる事ができず、体験の質が落ちてしまうためです。
しかし、サービスの知名度がない立ち上げ期は、ユーザー獲得が難しいのも事実です。従来のマッチングサービスが市場を独占する中、どうやって初期のユーザーを集めたのでしょうか?

Tinderが注目したのは、「口コミ」でした。広告だけでなく、サービスの「口コミ」が広がるようにするにはどうすれば良いかをとことん追求した結果、ユーザー間でバイラルが起こり、爆発的に伸びたのです。ここでは、2つの成功事例を紹介していきます。

大学生アンバサダー主催のTinder Party

1つ目の成功事例が、各大学で開催したTinder Partyです。Tinderをインストールすることを条件にして、Tinderから任命された大学生のアンバサダーがパーティーを主催。その費用をTinderが負担していました。
パーティーの参加者はもちろんTinderについて何も知りませんでした。
パーティーが終わり家に帰ってTinderを開く。すると、パーティーで顔は見たけれども会話はなかった、接点ができなかった男女が、次々にマッチしだす。
その体験が新しく、米国各地の大学でバイラルを生み出したのです。

アプリのインストールを条件に、フォトジェニックなパーティーを開催する、という同じようなスキームのイベントは日本でもマッチングアプリ各社が行なっています。しかし、Tinderの事例のようにはうまくインストール数を伸ばせていません。Tinderのパーティーは何が違うのでしょうか?
それは、スクールカーストの上位に属する大学生がアンバサダーとしてパーティーの主催者になっている点です。もしこれがTinderの企業主催のパーティーだったら、同じようにバイラルしなかったでしょう。インストールしても、帰ってすぐにアプリを消したかもしれません。身近な、憧れの男女が主催するパーティー、ここに参加するモチベーションがありました。そして、そんな憧れの人たちがオススメするアプリだったからこそ、アンインストールせずにとりあえず使ってみようと思えたのです。

大学生コミュニティへのアプローチ

2つ目の成功事例は、大学のコミュニティ単位でユーザーを獲得したことです。
アメリカの大学にはフラタニティ、ソロリティという男女の同性コミュニティが存在しています。そこに当時TinderのCMOだったWhitney Wolfe(現BumbleCEO)が目をつけました。
まず女性コミュニティでプレゼンしTinderをインストールしてもらった後、同じ大学の男性コミュニティでTinderをインストールしてもらう。それによって、男性は「顔見知りのかわいいあの子がいる!」という体験をするわけです。近いコミュニティの男女にアプローチすることが成功のカギでした。
Whitneyはアメリカ中の大学にTinderのプレゼンをして回り、この取り組みの効果でユーザーを5,000人から15,000人にまで増やしたそうです。

Tinderから学べる3つのプロモーション戦略

2つの事例がなぜ成功したのか?を紐解いていくと、3つの戦略が浮かび上がります。

1.ターゲットを絞る
Tinderは自分たちのプロダクトをミレニアル世代向きと定義し、プロモーションのターゲットを大学生に定めていました。これにより、プロモーションの5W1HのWho(だれに)が決まります。Where(どこで)も決まりやすくなります。打ち手のHow(どうやって)もぐっと考えやすくなり、プロモーションの成功確度が上がりました。

2.コミュニティを絞る
立ち上げ初期の少ないユーザー母数でマッチングアプリを使ってみると、なかなかマッチングしないし、すぐに人が尽きてしまう…という体験に陥るのが関の山です。Tinderが行なったプロモーションは、同じ大学、パーティーの参加者、顔見知り…など、何かしらのつながりがあるような、近いコミュニティのユーザーを囲っていました。これによって、少ないユーザーでもマッチングの精度と質を保ち、「顔見知りのあの子とマッチする!」という新体験を提供できたのです。

3.マイクロインフルエンサーをおさえた
Tinder Partyは、ターゲットにとって身近な存在をアンバサダーとして任命していました。ターゲットが憧れるアンバサダーのおすすめは、企業の広告とは異なる「リアルな口コミ」です。このリアルさ、口コミの自然さが、バイラルを生み出すきっかけになりました。

 

Tinderはこうした「口コミ」にフォーカスしたプロモーションで、1ヶ月で2万人から50万人までユーザーを伸ばしています。そこでクリティカルマスを一気に超えて、爆発的に流行したのも、Tinderの躍進の一因になっていると言えます。もちろん、Tinderが成功した理由はプロモーションだけではありません。ポジショニング、プロダクトなど他のピースがうまくはまって初めて現在の成功に繋がっています。

アメリカでは市民権を得たと言えるTinder。
今後、Tinderが日本でどのように攻めてくるのか、注視していきたいところですね!

次回は、Tinderに続くネクストウェーブの海外マッチングサービスを紹介したいと思います。
お楽しみに!

 

加藤 光咲

東京大学を卒業後、2017年サイバーエージェントに入社。マッチングエージェントに出向し、現在は「タップル誕生」のプランナーとしてアプリの企画・改善を担当している。
趣味は美味しいご飯屋さんを探すこと。